工務店は顧客の価値観を変えようとしてはいけない理由

NHK「デザインあ」も手掛けている、佐藤卓さんによるデザイン論が面白いです。

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大人になると、今まで築き上げてきたものがあるから、価値観は変わりにくい

記事の中で描かれている、「デザインマインド」ってすごく大事です。

40代50代になって、デザインマインドを持っていない人が、急にデザインマインドを身につけようと思っても難しい。だから僕は、NHKのEテレで『デザインあ』という番組を始めたんです。

と、佐藤さんが話すように、大人になると、今まで築き上げてきたものがありますからね。価値観は変わりにくいわけです。

言葉や写真では、価値観を変えることはできない

以前も取り上げましたが、言葉や写真では、価値観を変えることはできないです。

なぜなら、今の価値観って、これまで歩んだ人生がつくってます。人であったり、物であったり、環境であったり…と言うと大げさに聞こえますが、でも「今まで」がつくっているのは、間違いないですよね。

だから、これまでの数十年で築かれた価値観を、言葉や写真だけで、1年そこらで変えようと思っても、ハードルが高いわけです。

経験談から言っても、文章や写真は、見込み客を絞り込んだり、同じ方向性の価値観を持っている見込み客を育てたり、信頼関係を築くには、とても役立ちますが、価値観を変えることに関しては、ほぼ無力に近いです・・・

思い返してみても、価値観が変わった瞬間って、言葉や写真ではなく、「体験」が影響していませんか?

見込み客が持ってない価値観ほど、「体験」が効果的

住宅業界での例だと、ログハウスメーカーです。ログハウスを提案している会社は、ほぼ、モデルハウスを建ててます。お客さんになる方の大半は、子どもの頃から、ログハウスに住んでいる人は、そうはいないので、ログハウスに対する価値をわかっていません。あっても、写真などを見て、「なんだか凄そう」などの感覚的な好感ぐらいです。だから、モデルなどで体験させて、価値をわかってもらおうとしています。

他社と比べて奇抜なものや、見込み客が持ってない価値観ほど、「体験」が効果的ですよ。また、価値観を変えてくれた、人や物や環境って、必ず好むようになります。

他と変わっているものほど、「体験」で攻めてみてください。

工務店は顧客の価値観を変えようとしてはいけない理由

顧客の価値観を変える試みは、一見魅力的に思えるかもしれません。とはいえ、小さな工務店の場合、相手の価値観を変えられるほどの「体験」を提供することは、厳しいと思います。このアプローチは多くのエネルギーとリソースを要求するため、小さな工務店には向かないのです。

信頼関係の構築は長期間の努力が必要

顧客の価値観を変えるためには、まずその顧客との深い信頼関係を築くことが前提となります。しかし、信頼というものは短期間で得られるものではありません。それは、長い時間をかけて、一つ一つの約束を守り、期待を超えるサービスを提供することで、ゆっくりと築かれていきます。このような深い関係を築くための時間やエネルギーは、他の業務や新しい顧客獲得のチャンスを逸する可能性があります。

顧客のニーズとのギャップが拡大するリスク

顧客が何を求めているのか、そして工務店がどんなサービスや価値を提供したいのか。これらが必ずしも一致するわけではありません。価値観を変えようとする試みは、このギャップをさらに拡大させる可能性があります。その結果、顧客の期待を裏切ることになり、満足度が低下する恐れがあります。さらに、顧客からのリピートや紹介といったビジネスの大切な要素を失うことにも繋がりかねません。

「体験」の提供は大きな資源を必要とする

前述の通り、価値観を変えるための最も効果的な手段は「体験」です。しかし、顧客に特別な体験を提供するためには、多くの資源(時間、お金、人材)が求められます。特に小規模な工務店にとっては、これらの資源を十分に確保するのは難しい場合が多いです。そのため、大きな投資をしても期待するリターンが得られないリスクが高まります。

既存の価値観を尊重することでの深い信頼の獲得

顧客の価値観を変えるのではなく、既存の価値観を尊重し、それに合わせたサービスや提案をすることで、顧客との信頼関係を深めることができます。顧客が自分の価値観やニーズを理解し、尊重してくれる工務店を見つけたとき、その感謝と信頼は計り知れないものとなります。このような信頼関係は、長期的なビジネスの成功へと繋がります。


工務店は、顧客の価値観を変えるのではなく、顧客の価値観やニーズを深く理解し、それに応じたサービスを提供しましょう。そして、同じ方向性の価値観を持っている方に向けて絞り込むために、文章や写真を活用しましょう。そうやって長期的な信頼関係を築いていくほうが、最も効果的であると言えます。

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