工務店が暮らしで訴求するなら「一定のスペック」と「意味」が必要な理由

生活していく上で必ずしもいる必要はない「商品」は、多々ありますよね。注文住宅もそうですし、ジュエリーなどの宝石・アクセサリーもそうだと思います。こういった商品はどんどん増えていて、今ではテレビだってそんな商品の一つになってきています。

こういう商品に多いのが、スペック志向になりやすいということ。『より良いもの=以前より高スペック』という図式に、頭の中が染まっていたりします。

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ティファニーは「指輪」を売っているのではない

そんなスペック志向に陥りがちな方に参考になる記事がこちら。

百貨店を中心に「モノ」消費が落ちる現在。宝飾品を中心としたジュエリ―も例外ではない。米宝飾品大手のティファニ―の2016年5~7月期決算は、売上高が前年同期比6%減の9億3100万ドル(約1001億円)、純利益は同1%増の1億500万ドル(約113億円)だった。日本の売上高は13%増だったが、為替変動の影響を除くと3%減となり、頼みの日本市場も低調している。

今後のティファニ―の戦略を同社のインタ―ナショナル シニア・ヴァイスプレジデント フィリップ・ガルティエ氏に聞いた。(聞き手:染原 睦美)

ティファニーは「指輪」を売っているのではない
工務店が暮らしで訴求するなら「一定のスペック」と「意味」が必要な理由

スペックより意味を求める、ミレニアル世代

上記の記事内にも書かれていますが、ミレニアル世代(1980年代生まれの世代層)をターゲットにした時、スペックよりも訴求したほうがいい大事なポイントがあります。それは「意味」です。

特に、ミレニアル世代は、大変賢い世代です。簡単には商品を買いません。彼らが求めるのは「意味」です。物語を買うのです。例えば、指輪一つとっても、この目の前にある指輪が、デザインが、自分に何をしてくれるのか、これを身につけることによって自分はどうなれるのか、といったことを見出したいと思っているのです。

ティファニーは「指輪」を売っているのではない

こういった志向は、ある程度のスペックが担保されているからこそ成り立つんですが、そういったスペックが当たり前だと思っているのが、ミレニアル世代でもありますからね。当たり前ということは、価値とは思っていないってことでもあります。注文住宅にしたって、良い暮らしを実現できるのは、良い質(性能やデザインなど)があるから成り立ちます。

そして、「意味」。つまり「物語を買う」ということは、「こうなりたいという理想の自分への投資」みたいなものです。ただ、そのイメージは、よほどその商品の知識がない限り、スペックからはなかなかイメージしにくいわけです。

世代的に、40代半ば以降の方は、育ってきた環境から、スペック志向になりやすいはずです。だから、意識しない限り、スペック志向の伝え方になり、意味や物語を求めるミレニアル世代には、届きにくい傾向があります。どうしても、スペック志向から変わらない自分がいるなら、スペック志向の相手に売るのが一番近道ですよ。

オンラインで最大限の体験をさせる!

すべての世代に共通しているのは、デジタルテクノロジ―に対して非常に敏感になってきているということです。昔のように手の届かない“ラグジュアリ―ブランド”ではなく、ブランドが近い存在にならないといけない。インタ―ネットが当然の世界になってきたときに、企業と消費者の関係は、カテゴリ―に関係なく、どんどん近づいていっているのです。

我々の顧客も、お店に来る前にオンラインで商品を見ているという方が多くいます。商品を購入する決断に、インタ―ネットの情報がかなり影響を与えているのは火を見るより明らかです。

そうなったときに、オンラインでお客様に対して最大限の体験をしてもらうことは非常に重要です。

ティファニーは「指輪」を売っているのではない

「オンラインで最大限の体験をさせる」という、この視点も、高額や不要不急の商品には欠かせない方法です。

「オンラインで最大限の体験をさせる」というのには、いろいろな訴求があるでしょうが、簡単に言うなら、頭の中で買っている状態のイメージをさせられるかってことです。人が誰も入っていない写真よりも、実際に暮らしている様子がわかる写真の方が、訴求力が高いのも、こういったことからです。

「頭の中で一度買わせられるか?」そのイメージをさせない限り、高額や不要不急の商品はなかなか売れないんですよね・・・

工務店が「一定のスペック」と「意味」を満たすためには何をしたらいいか?

「スペック」と「意味」の認識が必要

工務店経営者の皆さん、現代の消費者、特にミレニアル世代は、単に高性能な家を求めているわけではありません。彼らにとって重要なのは、その家が彼らの生活にどのような「意味」をもたらすかです。家は単なる避難所ではなく、生活の質、思い出、そして自己実現の場としての価値を持っています。したがって、工務店としては、高いスペックを提供するだけでなく、顧客がその家でどのような理想の生活を送れるかを示す必要があります。これは、家を建てる技術的な側面だけでなく、顧客の夢や願望を理解し、それを実現する手段としての家を提供することを意味します。

世代間の価値観の違いを理解する

多くの工務店経営者は、長年の経験と業界の伝統に基づいて、スペック志向の価値観を持っています。しかし、ミレニアル世代をはじめとする若い顧客層は、単なる機能性を超えた価値を求めています。彼らにとって、家は「機能」を超えた「体験」や「物語」の場です。この世代間の価値観の違いを理解し、受け入れることが、新しい市場を開拓するための第一歩です。若い世代は、単に快適な家を求めるだけでなく、その家が彼らのライフスタイルや価値観にどのようにマッチするかを重視しています。

「ストーリーテリング」「カスタマイズ」「デジタル体験」の提供

顧客が求める「意味」を提供するためには、ストーリーテリングが非常に効果的です。例えば、家族が集まるリビングルーム、子供たちが成長する庭、趣味を楽しむための特別なスペースなど、顧客がその家でどのような生活を送るか、どのような思い出を作るかを想像させる物語を提供しましょう。

また、カスタマイズ性を高めることで、顧客が自分だけの特別な空間を作り出せるようサポートします。これにより、単なる建物を超えた、顧客にとっての「理想の家」を提供することができます。

オンラインでの体験も非常に重要です。ウェブサイトやソーシャルメディアを活用して、顧客が簡単に情報を得られるようにしましょう。バーチャルツアーや3Dモデリングを用いて、顧客が自宅にいながらにして理想の家を体験できるようにするのも良い方法です。これにより、顧客は自分のペースで情報を収集し、より深い理解と興味を持つことができます。また、オンラインでのインタラクティブな体験を通じて、顧客は自分自身で家のデザインをカスタマイズし、そのプロセスに積極的に関与することができます。


これらのアプローチを通じて、工務店は「一定のスペック」と「意味」を満たすことができます。技術的な品質を保ちつつ、顧客の心に響くストーリーを提供することで、より深い顧客満足とブランドの忠誠心を築くことができるでしょう。顧客が自分たちの理想を実現できる家を見つける手助けをすることで、単なる建築業者から、顧客の夢を実現するパートナーへと変わることができます。

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