- もし、あなたの工務店がホームページから集客や受注を増やしたいのなら・・・
- もし、あなたの工務店が自社のブランドを確立したいのなら・・・
- もし、あなたの工務店が今よりも1棟あたりの利益を増やしたいのなら・・・
工務店のセカンドオピニオンサービスは普及するのだろうか?
家づくりにおいて、セカンドオピニオンが普及しはじめましたが、住宅系のセカンドオピニオンは、どんどん増えてほしいと思っています。
家づくりにおけるセカンドオピニオンとは?
家づくりや建築に関連して、既存の提案や計画に対して別の専門家の意見を求めることを指します。建築家や専門家側からすると、図面や間取り、工事内容のチェック、助言、改善案の提供などを含むサービスになります。建主側としては、よりよい決断をするために専門的な知識を持った第三者の意見を求める行為となります。例えば、工務店やハウスメーカーが提供する計画や図面に対して、設計に携わっていない別の建築家が客観的な視点から意見を提供するなど。
セカンドオピニオンに怒る人は実力不足が多い?
医療の場合、「セカンドオピニオンをする」と言われて怒る医者に限って、治療方針に自信がなく、自分の能力が足りないことを他の医者に露呈することが我慢ならない人が多いようです。もしくは、医者の権威にすがることで自らを高めたい哀れな人たちが多いとのこと。
これは、家づくりにも同じことが言える気がします。
実際、家づくりにおいて、セカンドオピニオンが成り立てば、今まではプロの意見を一方的に鵜呑みせざるをえない状況だったのが、セカンドオピニオンを頼れば、プロの意見をプロにぶつけられるので、その回答から差が見えてきやすい。つまり、不真面目なところやレベルの低いところが可視化されやすくなります。
工務店や設計事務所のセカンドオピニオンを後ろ盾にして、本やネットや勉強会に参加して知識を付けていくと、手間は掛かるが失敗するリスクは低くなるのです。
セカンドオピニオンの本質を注文住宅に活かす
他社との差別化を図る上でも、セカンドオピニオンは有効的です。
セカンドオピニオンとは、よりよい決断をするために、当事者以外の専門的な知識を持った第三者に求める「意見」、または「意見を求める行為」のこと。医療の世界では常識化しつつありますが、最近ではさまざまな業界でセカンドオピニオンサービスとして取り入れられ始めました。
セカンドオピニオンは、クライアント第一の考え方から生まれたメソッドですが、
- クライアント=患者
- ファーストオピニオン=主治医
- セカンドオピニオン=別の医者
という3つの立場に分けられます。
本質を見ていくと、セカンドオピニオンは、ファーストオピニオンを変えるために行うものではないということです。つまり、自分にとってより良い医師を探すためのものではなく、今受けている診断や治療法が適切であるか、他の専門医に意見を求めるものとされています。「ファーストオピニオンと共に最善の方法を見出していく」というのがセカンドオピニオンの位置づけとされています。ファーストがあってのセカンドということです。ちなみに、自分にとって都合のいい診断と治療法にたどり着くまで、次々と医師を変える行為を、「ドクターショッピング」と言うそうです。
ただ現状では、自社を売り込むための無料相談だったり、横取り営業的などに、すり替わっているサービスも見受けられます。この方法だと、本質からはかけ離れているので、いずれ歪みが出ます。住宅業界でも今はまだ、セカンドオピニオンをおこなっているところは少ないため、問題視されることはないですが、いずれ数が増えてきた時、不真面目なサービスと差別化する上でも、本質を押さえながら普及していきたいところです。
セカンドオピニオンは、3者ともにメリットがある。
セカンドオピニオンは、クライアント第一の考え方から生まれたメソッドですが、
- クライアント=建主
- ファーストオピニオン=工務店
- セカンドオピニオン=別の工務店
3つの立場、いずれにもメリットがあります。
1.クライアント=建主のメリット
家づくりは不透明な部分が多いため、知識に乏しい一般の方で全てを把握するのが困難です。セカンドオピニオンの仕組みを使えば、メインの工務店と信頼関係を保ちながら、外部からの指摘も受け入れることで、不透明な部分も減り、より的確な判断を下せるようになります。結果、よりよい到達点を目指していけることになります。
医療の世界では、主治医と契約する際にセカンドオピニオンを利用することへの合意を取り付け、契約条項に盛り込むこともあるようです。
2.ファーストオピニオン=工務店のメリット
真面目な工務店限定になりますが、セカンドオピニオンというある意味ライバル的な存在によって、なれあいで進めていたところを律することができます。
そして、本来のセカンドオピニオンは、クライアントとの信頼関係が前提となります。なので、セカンドオピニオンを取り入れている内は、知らないまま離れていくということも少なくなるでしょう。
また、自社よりある優れたノウハウを持つセカンドオピニオンの、具体的な分析や見識にふれることができると、成長にも繋がります。
理想を挙げると、ファーストオピニオンの立場なら、契約段階で、率先してクライアントに、セカンドオピニオンの利用を提案してみてもいいかもしれません。
3.セカンドオピニオン=別の工務店のメリット
自社がセカンドオピニオンになれば、自社の専門性、第一人者としてアピールできる。自社の立ち位置を上げることができますし、お客さんに対して、新鮮なアプローチができます。
また、通常では出会わなかった事例と接する機会が増えます。なので、自分の考えやノウハウをどんどんブラッシュアップできるため、自然と能力を上げることができます。これは、棟数の少ない小さな工務店とってもメリットになります。
セカンドオピニオンになるために必要な要素
セカンドオピニオンは、真面目な会社であれば始めやすいサービスですが、質を高めるには必要な要素があります。
1.強みを持っているか?
セカンドオピニオンの役割として、ファーストオピニオンと同等以上の意見を出すことが求められます。そのため、強みとなる専門性の高さを持ち合わせていなくては、クライアントからの依頼もありえません。
たとえば、ファーストオピニオンが、高気密高断熱を強みとしていて、クライアントもそこに対してのオピニオンを求めているのに、勉強不足で同等以上の返答ができないのであれば、意味を成さないでしょう。
つまり、客観的な判断を下すための情報・ノウハウの総量、クオリティを持っているかが求められてきます。その専門分野で最高水準の提案ができるというイメージと実績を併せ持たなければ、質の高いセカンドオピニオンとしては成立していかないということです。
2.クライアント第一か?
セカンドオピニオンの本来の主旨は、クライントのことを第一に考え、不透明さや問題を解決し、最善の方法を提案することを前提にしたメソッドですから、工務店同士のしがらみを超えて一つの目的に向って協力し合う、連携し合うというオープンな環境が求められてきます。
この点を見失うと、売り込むための方法の一つになりさがったり、依頼を変えるための方便として使ったりと、自社都合のあらぬ方向に進んでしまうという危険性があります。
3.公平であるか?
公平つまり、“ファーストオピニオンと共に最善の方法を見出していく”が、セカンドオピニオンの基本姿勢になりますが、ここは最もおろそかにされしまう点です。
公平の観点からいくと、本来、セカンドオピニオンを利用する際は、ファーストオピニオンとクライアントの間で同意がなされていることが前提とされているようです。クライアントが内緒でセカンドオピニオンを依頼するのは、ルール違反になってしまいます。より的確な診断、より効果的な提案を実現するために、ルールにのっとった進め方が必須とされています。
また、「あなたのファーストオピニオンには問題がありますよ。ウチならこんなメリットがありますよ。」と、自分の都合のいい方向に誘導してしまうと、クライアントの信頼を得ることはできないでしょう。客層を考えても、セカンドオピニオンを利用する層は賢い層ですので、自社都合の売り込みには気付きます。これでは、セカンドオピニオンが、家づくりの有用な選択肢として普及することはありえないでしょう。
公平ということを踏まえたら、自分の売り込みをせず、ファーストオピニオン、セカンドオピニオンそれぞれのメリット・デメリットを明らかに示せすこと。そして、ファーストオピニオンを批判するのではなく、別の立場から利害関係なしで意見を出すことが求められてきます。どうしてこのようなセカンドオピニオンになったのか、その根拠を示す資料、理論を提示できることも押さえどころです。
セカンドオピニオンの訴求方法
見せ方で注意したいのは、自社のサービスメニューの一つではあるが、あくまで第三者的なサービスとして、自社のメニューとは切り離して見せる方が良いです。決して、自社のサービスであることを隠すということではなくて、あくまで“中立的な立場”という印象を植え付けるということです。
例えば、WEBサイトで表現する場合には、複数のページをまたぐより、1ページにまとめて作成した方がいいでしょう。
セカンドオピニオンのページを作成する上で必須項目は?
1.セカンドオピニオンサービスを提供する理由
- 業界の現状に対する問題意識
- 顧客の要望に応える姿勢の形
など、第一人者として認知させるために、なぜこのサービスを始めたのかの理由を書きましょう。
2.提供するセカンドオピニオンの基準
- 意見や提案の裏付けとなる強み(経験や実績)
- その基準の源となっている強み(経験や実績)
など、公平な姿勢を認知させるため、どのような視点・立場でセカンドオピニオンを提供するのかを書きましょう。
3.セカンドオピニオンの活用方法
- セカンドオピニオン本来の形、主旨
- セカンドオピニオンを依頼する上での注意点
など、利用動機を喚起するため、提供するセカンドオピニオンで、どのようなメリットがあるのか。また、敷居を下げるために、セカンドオピニオンの正しい活用法を啓蒙しましょう。
4.セカンドオピニオンのサポート内容やツール
- ヒアリングシート、意見・提案シート等の形を見せる
- 「セカンドオピニオンの進め方」など
など、サポート内容やツールを可視化しましょう。
5.セカンドオピニオンサービスに取り組む体制
- 社内での組織を明確化する(誰が対応するのか?など)
- 守秘義務、個人情報の取扱いについての意思表示
など、サービスとしての安心感を与えましょう。
6.別の申し込みフォームを用意する
自社サイトの問合せ・資料請求などのフォームとは一緒にせず、別のフォームを用意した方が、“中立性”を担保することができます。
また、申し込ませる前のアクションとして、質問を受け付けるのであれば、匿名で質問を受け取ることができる「Peing(ペイング) -質問箱-」を使ってみてもいいです。
セカンドオピニオンを社内にも活かす
メリットのところでも挙げましたが、セカンドオピニオンをすることで、通常では出会わなかった事例と接する機会が増えるため、自分の考えやノウハウをどんどんブラッシュアップでき、自然と能力を上げることができます。これは、棟数の少ない小さな工務店とってもメリットになります。
多分、セカンドオピニオンの対応をするのは社長でしょう。社長一人で答えを導き出すのもいいですが、“社内の専門家たち”にも依頼してもいいと思います。自分の考えを言いたい社員もいるでしょう。社長の判断にダイレクトに参加できることは、風通しの良い会社になりやすいです。また、オープンにすることで、提案や解決策が共有でき、社員の発想を刺激したり、建設的な意見を増やしたりという効果もあります。
優れた注文住宅の影にセカンドオピニオンあり!?
以上が、セカンドオピニオン本来の主旨を踏まえた上での考えです。
現時点では、おこなっている工務店や設計事務所も少ないので、とりあえず始めてみても良いとは思います。今は増えていくことが重要ですし、黎明期ほど真面目なところしか行わないと思います。
基本的には、セカンドオピニオンは、手間や時間が余計に掛かるし、依頼者が必ずしもお客さんになるとは限らないため、利益最優先で考えたら遠回りになるので、拝金主義な会社ほど後回しになるからです。なので、よほどのことがない限り、工務店のセカンドオピニオンサービスは普及していかないでしょう。
ただ長い目で見た時、セカンドオピニオンサービスが「良い」「売れる」と認知されれば、実行する工務店や設計事務所も増えていくでしょう。皆が始めだして当たり前になって、売れるとわかれば不真面目な会社も参入してくるかもしれません。選択肢が多くなることを予測するなら、今から正しくこと培っていくことが理想的です。
工務店の選択が、何千万円という家づくりに大きな影響を与えるわけですから、同業者がオピニオンの一定水準を保証してくれるなら、サービスとして普及していくのは自然なことだと思います。
できるできないじゃなくて、やるかやらないかなので、工務店や設計事務所などの小規模なところほど、やるべきだし、セカンドオピニオンが当たり前になれば、「名将の影に優秀な参謀あり」と言われるように、「優れた注文住宅の影に優秀なセカンドオピニオンあり」と言われるようになるかもしれません。