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工務店は他社の成功事例より顧客の声に耳を傾けることに徹した方が良い理由
「オープンハウスがコロナでも”契約件数大幅増”を達成できたワケ」という記事が、ITmedia ビジネスオンラインで取り上げられているのですが、オープンハウスが5月に発表した決算資料「2020年9月期第2四半期 決算説明資料」と合わせて読むと、非常に興味深い内容です。
オープンハウスがコロナ禍でも契約件数を伸ばせた要因
記事によると、オープンハウスがコロナ禍でも契約件数を伸ばせた要因としては、
- コロナ禍によってテレワークの普及で、消費者の「家」に対するニーズの変化が発生した。
- テレワークに対して、家の環境が追いついていないという“ギャップ”にマッチしたビジネスを展開していた。
と推測されています。
twitter上にはこんな意見も・・・都心ではテレワークの普及で「郊外行けば戸建買えるじゃん」って人が実は多数いたようです。
一転して、広さを求める時代に…
家に対するニーズは変わってきています。
リフォーム産業新聞でも取り上げられてましたが、広さや、仕切られた空間を求める人が増えています。この傾向は、コロナ前の「間仕切りのない空間を広く使う」という流れから一転しています。
新型コロナウイルスによってライフスタイルはどう変わったのか。家づくりのマッチングプラットフォーム「SUVACO」を運営するSUVACO(東京都港区)は、同サイトユーザーを対象にアンケート調査を実施。新型コロナウイルスによって気がついた住宅の良い点・改善点が見えてきた。
《アフターコロナの住まい》SUVACO、コロナで我が家の「困った」 「ワークスペースがない」4 0%
実質的には、性能を保ちながら広くすると予算が掛かるので、広さは同じでも、間仕切りによる空間の可変や、ひとつの空間で多くのことがまかなえる多機能化が必要でしょう。
行動力が違うだけ
テレワークの普及より、今の家に問題が発生し、広さや機能を求めるようになってきているのですが、こういうのは多分、ほとんどの方がわかっていたと思います。
では、何が違うのか?
・・・それは、「行動力」です。
オープンハウスの場合、5月中頃に発表された決算資料を見ると、「お客様の声」を聞き、それを即実行に移していることも影響してそうです。良くも悪くも行動力だけは他社を圧倒してますからね。皆がもたついてる時に動けると強いです。
「顧客の声を聞いて、それを反映し改善していく」これはマーケティングや商品企画の基礎中の基礎です。
「顧客の声を反映する」などの行動力は、本来であれば、小規模の会社の方が武器にしなければならないのですが、他社の成功事例をマネるやり方をしていては一生掛かっても無理なわけです。
良い状態で残れる会社は強くなる
そして、オープンハウスとしては、大手や他の企業が悪化していくのを狙っています。狙っているとは書いてませんが、狙っているでしょう(笑)
ちなみに、大手各社はオープンハウスとは真逆で、受注が前年と比べて減少中・・・
主要住宅メーカー各社の6月度受注速報(金額ベース)が出そろった。受注速報は前年同月比(単月)と比較するもの。前年の受注の好不調により、前年同月超えのハードルは変わる。ただ、新型コロナウイルスの影響を受けて、4月、5月と続いてきた大きなマイナス幅は全体的に縮小傾向(表参照)。6月の受注状況は回復の兆しが見えるものとなった。
住宅展示場は見込み客の開拓に加え、最終的な打ち合わせを進める場所でもある。緊急事態宣言は4月7日に発令され、5月25日に解除された。宣言期間中に、展示場では一時的な休業や閉鎖が実施された。また、営業担当者の訪問による顧客との相談なども休止され、受注減の要因となっていた。宣言解除後、展示場は新型コロナ対策を取りながら営業を再開している。
減少幅縮小、回復の兆し 主要住宅各社6月度受注 住宅展示場再開契機に
不振企業の淘汰が進んでいけば、残っている企業は、受注・買収・採用など、様々なことで恩恵を受けますからね。全体的な不況になった時、いくら社内に問題があろうとも、良い状態で残れる会社は強くなります。
実際、コロナ禍とは関係ないですが、2023年8月、暴力団への利益供与で揺れる三栄建築設計を、オープンハウスグループは買収しましたからね。
工務店は「顧客の声を聞き、行動力で差をつける」ことに徹した方が良い
「顧客の声」には、集客や商品企画など活かせる素材が眠っていますので、こういうライフスタイルの変化の時期においては、「顧客に聞く」ことを加えないと、的外れな提案になっていきます。結局、「顧客に聞く」ことをしない工務店は、他社の真似事をするしかなくなってきます。
多分この先は、先行者のテレワーク用スペースの成功事例が出てきて、それのパッケージ販売が生まれ、導入するなり安易な真似事が増えて、結果、上手くいかず・・・こういう真似事は、お客さんと向き合っていないケースがほとんどですから。
「お客様」という言葉を使っておきながら、全然向き合ってない工務店は、ほぼほぼ顧客の声を聞いてないです。だから、顧客の声より他社の成功事例を選ぶわけです。ぶっちゃけ自分が客側なら、「様付け」よりも、向き合ってくれる方が何百倍も嬉しいです。
冒頭で紹介したオープンハウスがしていることって、「顧客の声を反映して実例をつくり、その実例を元に新しいお客さんに提案する」という流れなんですよね。
変化のタイミングだからこそ、「顧客の声」を反映させることに投資しないと、もったいないですよ。コロナによって、テレワーク以外のニーズも生まれているかもしれませんので・・・
顧客の声を聞かない工務店は非常に多いからこそ、「顧客の声」を拾える仕組みをつくるのは、小規模の会社の場合、経営者の仕事として、向き合うことが必要なのです。