工務店は小さくても豊かに暮らせる家を建てられるか?アメリカ人も気付き始めた小さな暮らし方

産経新聞大阪本社の編集委員・坂本英彰さんが面白い記事を書かれています。結構、ネットでも話題になっています。

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「ウサギ小屋」に住み始めたアメリカ人たち…日本への揶揄どこへ、背景に米国社会の“構造変化”

米国の大都市で「マイクロアパート」と呼ばれる住まいが注目を集めている。日本の「ワンルームマンション」に相当し、なかには台所共有の物件も。背景には景気後退や単身家庭の増加などがある。ゆったりとした広さをモットーとしてきた米国流の住まいも曲がり角。かつて日本を揶揄(やゆ)した「ウサギ小屋」に住む米国人が増えてきた。

「ウサギ小屋」に住み始めたアメリカ人たち…日本への揶揄どこへ、背景に米国社会の“構造変化”

かつては広い住まいがアメリカの代名詞で、日本の住居が「ウサギ小屋」と揶揄されていましたが、最近では、景気後退や単身家庭の増加などを背景に、「お金はあまりないけど、これくらいなら払える」という思いから、アメリカの大都市で、「マイクロアパート」に住む人が増えているようです。

工務店は小さくても豊かに暮らせる家を建てられるか?アメリカ人も気付き始めた小さな暮らし方
マイクロ・アパートメント「SmartSpace」

東京も顔負け!? サンフランシスコが「20平米のアパート」を許可

また、サンフランシスコには、低所得の家庭向けに、「東京も顔負け」の1区画20平方メートル「マイクロ・アパートメント」があります。

サンフランシスコ当局が「東京も顔負け」の1区画20平方メートル「マイクロ・アパートメント」を暫定承認した。この手の小さな部屋については、低所得の家庭向け市場に関する議論も起きている。

もしあなたがサンフランシスコに暮らしているならば、すでにクローゼットの中に住んでいるような感じがしているかもしれない。しかし同市がこのほど許可した最小の部屋は、1台の車を停めるくらいのスペースになる 。

サンフランシスコの管理委員会は11月20日(米国時間)、220平方フィート(20平方メートル)の「マイクロ・アパートメント」の実験を暫定承認した。最近の都市開発で人気になっている、念入りに設計されたコンパクトな住居だ 。

東京も顔負け!? サンフランシスコが「20平米のアパート」を許可

このコンパクト傾向は、まだ単身世帯での動きですが、単身世帯でその感覚が行き届けば、彼らが家族世帯になった時、今までのような、米国家庭の典型の郊外の庭付き一戸建てに親子で住むというスタイルは、少なくなりそうですね。

このブログでも取り上げた、アメリカのグラハム・ヒル氏の取り組みに挙げられるように、「省スペース」「デザイン」「環境負荷」といった、狭くても安価で便利なアパートを求める傾向は、今後も続きそうです。

工務店は小さくても豊かに暮らせる家を建てた方が良い理由

1. 日本での市場の需要もある

日本、特に都市部では、小さな家やコンパクトな注文住宅に対する需要が増加しています。土地価格が高騰していること、単身者やDINKs(Double Income, No Kids)などの新しい家庭形態が増えていることが大きな要因です。さらに、「お金はあまりないけど、これくらいなら払える」という考え方が広がっています。特に若い世代や、初めての家を購入するカップルは、手の届く価格で質の高い住まいを求めています。このような市場の動きは、工務店が新しい顧客層を獲得する大きなチャンスです。

2. 経済的な利点

小さな家は、建設コストが低く、維持費も抑えられるという経済的な利点があります。これは、工務店にとっては高い利益率を確保できる可能性があり、顧客にとっては初期費用とランニングコストを抑えられるというメリットがあります。特に、高齢化が進む日本では、将来的に維持費がかからない家は非常に魅力的です。

3. 環境への負荷が少ない

小さな家は、そのサイズからも環境への負荷が少ないと言えます。省エネ設計や持続可能な材料を使用することで、さらに環境への負荷を減らすことが可能です。これは、環境意識が高い消費者にとって非常に魅力的なポイントであり、工務店がこれに応えられれば、顧客獲得につながります。

4. デザインと機能性

日本は、狭いスペースでも快適な住まいを作るための高い技術とデザインセンスがあります。これは、工務店がその技術力と創造性を最大限に活かせる絶好の機会です。例えば、多機能家具やスマートホーム技術を取り入れることで、限られたスペースでも豊かな暮らしを実現できます。

5. 変化するライフスタイルに対応

テレワークの普及、多様な働き方、家庭形態の多様化など、ライフスタイルが大きく変わっています。小さな家は、これらの社会的な変化に柔軟に対応できるとともに、必要な場合には拡張やリノベーションも容易です。これは、長期的に住む家を考える顧客にとっても、非常に魅力的な選択肢となります。

6. 競争力の向上

小さな家を手掛けることで、工務店は他社と差別化を図り、新しい顧客層を獲得できます。これは、ビジネスの安定と成長に寄与します。また、このような住まいは、地域社会や環境にも貢献する形となるため、企業の社会的責任(CSR)活動にも繋がります。


以上のように、日本でも小さくても豊かに暮らせる家を建てる方向で、ビジネスモデルを考える価値があります。これは単なるトレンドに過ぎないわけではなく、社会の構造変化と密接に関連している重要な動きです。

工務店は小さくても豊かに暮らせる家を建てられるか?アメリカ人も気付き始めた小さな暮らし方

小さな暮らしのすすめ

  • 作者:月刊『望星』編集部
  • 出版社:東海教育研究所
  • 発売日: 2012-03
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