普通の人が悪魔に変わる環境があるなら、人を悪魔に変える家も存在しえる。

以前メルマガで、アメリカのスタンフォード大学の実験の話を取り上げ、「環境や立場が人を変える」という話を書いたことがあります。

実験の概要を書くと、

一般人21人の内、11人を看守役に、10人を受刑者役にグループ分けし、それぞれの役割を、実際の刑務所に近い設備を作って演じさせた。その結果、時間が経つに連れ、看守役の被験者はより看守らしく、受刑者役の被験者はより受刑者らしい行動をとるようになるという事が証明された。

というものです。

その話をベースにしてつくられたのが映画『es(エス)』(2001年)です。

その後、リメイクされたのが『エクスペリメント』(2010年)

そして、2015年夏に公開された第3弾『The Stanford Prison Experiment』(現時点では日本未公開?)

 

この現象の分析を詳しく説いているのがこちら

この、ごく一般の人が、置かれた状況や社会的システム、環境などといった要因によって、恐ろしい悪人になりえる事が、いかに簡単な事であるかという、ルシファー・エフェクトについて説明している本がこちら。

ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき

『スタンフォード監獄実験』だけでなく、イラクのアブグレイブ刑務所で行われていた虐待などにも触れられています。なんと、800ページ超!

普通の人が悪魔に変わる環境があるなら、人を悪魔に変える家も存在しえる。

 

ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき

  • 作者:フィリップ・ジンバルドー,Philip Zimbardo
  • 出版社:海と月社
  • 発売日: 2015-08-03

 

著者のフィリップ・ジンバルド氏によるTEDでのプレゼンも参考になります。

フィリップ・ジンバルド -普通の人がどうやって怪物や英雄に変貌するか

(※閲覧注意!TED映像では、アブグレイブ刑務所での虐待の様子が出てきます。)

フィリップ・ジンバルドは善良な人が悪人に変貌することは、いかに簡単かを理解してい­ます。 この講演で彼は、アブグレイブ事件の非公開写真やそこからの洞察を紹介します。 それから、その対極について語ります:英雄になるのはいかに簡単かということ、どうす­れば困難に際して立ち上がれるのかということを。

TED動画の閲覧は勧めにくいですが、動画内で語られているのは、普通の人が悪魔に変わるまでの過程があるようです。以下紹介します。

普通の人が悪魔に変わるまでの 7つのプロセス

  1. 考えもなく最初の小さなステップを踏むこと
  2. 他人の人間性を剥ぎ取る
  3. 自身の没個性化を測る(容姿を変えて匿名になる)
  4. 個人の責任を曖昧にする
  5. 権限へ盲目的に服従する
  6. グループの基準には無批判に従う
  7. 怠慢や無関心によって受動的に悪を許容する

これらのプロセスは大きかれ小さかれ誰にも起こりえますね。個人的な感覚ですが、4番目ぐらいまで満たしてしまったら、悪魔へと加速していきそうな気がします。

腐った環境のせいで、自身も腐り、それに気付かない・元に戻れない状況になる前に、腐らせるような環境に身を置いておかないことですね。これは、仕事でもプライベートでも言えることですよ。

 

「住」という環境も、人の変化に大きく影響を与える

「住」という環境だって、似たような部分があります。

『子どもをゆがませる「間取り」』

2001年とかなり前に出版された本ですが、前半となる第1章の「子供の狂気はこうして育てられたでは、過去に凶悪犯罪を犯した人たちを数名取り上げて、彼らの育った「家」と、そこでの家族のあり方や、彼らへの影響についてかかれています。その分析・解説が、結構説得力ありますよ。

普通の人が悪魔に変わる環境があるなら、人を悪魔に変える家も存在しえる。

 

子供をゆがませる「間取り」

  • 作者:横山彰人
  • 出版社:情報センター出版局
  • 発売日: 2001-01-24

追記

2018年に「スタンフォード監獄実験」はイカサマだったというような記事が出ています。

実験への疑義および新事実の判明

実験を行うにあたっては実験を行う側(看守役)、被験者(囚人役)双方に見た目も分かりやすい役を事前に与えられていた事などが挙げられる。

心理学者のアレクサンダー・ハスラムはこの実験の結果を再現すべく実験を試みたが、結果はジンバルドーの主張したものとは違い、特に上述の非個人化は発生しなかった。

この結果に疑問を持った彼らは実験に関する調査を続けたが、その過程においてニューヨーク大学の社会心理学者ジェイ・ファン・バベルはスタンフォード大学に保存されていた実験に関する録音データの提供を受けた。これは実験における「刑務所長役」(ジンバルドーのアシスタント)と「看守役」とのやりとりを録音したもので、この中で「刑務所長役」は、消極的な態度を取る「看守役」に対し「残忍な看守」として振る舞うように積極的に指示を行っていた。「看守役」が強く反論したにも関わらず「刑務所長役」が自らの指示を押し通す様子も録音されており、これらは「看守は刑務所長の明確な指示と指導を受けていた」ことを示している。つまり、「看守が誰に指図されるわけでもなく残忍に振る舞った」という実験結果の骨子そのものを覆すものだったのである。

バベルはこのように述べている。「肝心なのは、同調は、自然・盲目的・必然的(に起きるの)では無いということ。ジンバルドーはこの点について甚だ間違っていただけではなく、そのパブリックコメントによって何百万人もの人々を欺き、この実験に関する虚偽の話を受け入れさせたのだ」

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。