30年以上女性に愛され続ける雑誌から学ぶ、工務店の提案する注文住宅を人格化させた方が良い理由

マーケティング的視点で、2008年以降からの雑誌の発行部数を調べ、売れない雑誌の共通点を掘り下げた記事が興味深いです。

目次

80万部が11万部になった「cancam」。売れない雑誌の共通点とは?

いろいろな雑誌が、部数を落としたり廃刊になる中、「Hanako」だけが変わらないというデータです。

  • 2008年最盛期の41万部から、6年間で4分の1の11万部に減った「Popteen
  • 2008年時の27万部が8年間で19万部に減った「anan
  • 2006年最盛期の80万部から、11万部まで部数を減った「cancam
  • 2008年時に約9万部でその後8年間、部数がほぼ減っていない雑誌「Hanako
80万部が11万部になった「cancam」。売れない雑誌の共通点とは?(※サイトが終了しています。)

「Hanako」自体は元々が10万部を超えていないので、他の人気雑誌と比較するのは・・・と補足が書かれていますが、他の雑誌の様に、専属モデルがいたり、付録戦略をしなくとも、変わらず一定層を獲得している「Hanako」の戦略は興味深いですね。

小さな工務店が目指すのは、「Hanako」のスタンス

部数はそこまでにないにせよ、変わらず一定層を獲得しているHanakoのコンセプトは、小さな工務店にこそ参考にしたほうがいいですよ。

時代に合わせてブランドの方向性をてらいなく変えてきた

2015年当時の、Hanakoのコンセプトは2009年にリニューアルされており、単に情報を得るための媒体ではなく、“眺めていて楽しい”“生活空間に置いておきたい”“何度でも触れたい”と思わせることを意識し、よりビジュアルを重視し、雑誌を雑貨化することなのです。

30年以上女性に愛され続ける雑誌から学ぶ、工務店の提案する注文住宅を人格化させた方が良い理由
HANAKO NO. 1101

2023年の今は、バッグや靴、本や音楽、化粧品、電化製品など、都市生活者に必要な情報も提供していて、都市を楽しむための欲望が詰まったシティライフスタイル・マガジンのようです。

なので、変わらず同じものを出し続けているわけではなく、時代に合わせてブランドの方向性を変えていることが、長く続いていることと、『Hanako』の田島編集長は語っています。

田島:これだけ長く続いているのは、変わらず同じものを出し続けているわけではなく、時代に合わせてブランドの方向性をてらいなく変えてきたからだと考えています。長年雑誌を刊行していると、どの雑誌も時代に置いて行かれそうになる瞬間が必ずあります。ですが、私を含めた歴代の編集長が、時代に並走するための地殻変動を起こしてきたのです。そのアジャストがうまくできている雑誌が、今の時代にも生き残っているのだと思います。

雑誌『Hanako』が、30年以上女性に愛され続ける理由【博報堂中川氏×マガジンハウス田島氏対談】

商品を人格化して、ターゲットの友達として想定

また、ターゲットの設定はあるものの、細かいペルソナを定めるよりも、雑誌を人格化して、ターゲットの友達を想定しているようです。

田島:私の場合は、雑誌の人格を規定し、そこに沿った、かつ時代にも合っているコンテンツを提供すること。読む人のペルソナを規定することよりも、『Hanako』という雑誌がどのような人に見えるか=人格を規定することが重要だと考えています。

もちろん「20代後半から30代くらいの自立した働く女性」というコアターゲットの設定はあります。ただこのターゲットを細かくペルソナとして洗い出すよりも、コアターゲットの方々が『Hanako』に抱く人格の印象を想像するほうが重要だと考えています。

中川:現在は『Hanako』をどういう人格で定義しているのでしょうか。

田島:ひとことで言えば、女子会で幹事を任される人、でしょうか(笑)。先ほどお伝えしたコアターゲットの人たちが「こういう人が友達でいてくれたら頼もしいなあ」と思う存在でいられることを常に意識しています。

 チャーミングでパワフル、そして最近のフードやスイーツ、旅行のトレンドにも詳しいから、とにかくみんなに頼られる。でもときどき真面目にSDGsのことだったり働き方のことについて相談にも乗ってくれる。このような人格の“ハナコさん”を編集部員に共有して、そのイメージのもとで『Hanako』を作り上げています。

雑誌『Hanako』が、30年以上女性に愛され続ける理由【博報堂中川氏×マガジンハウス田島氏対談】

工務店の提案する注文住宅を人格化させたら施主にとっての何になるのか?

雑誌『Hanako』の成功の背後には、そのブランドやコンテンツを「人格化」するという独自のアプローチがあります。このアプローチを工務店のビジネスに取り入れると、どのような変化が生まれるのでしょうか?

施主の期待と現実のギャップが生まれやすい現代の家づくり

注文住宅を選ぶ施主は、自分たちの理想とする生活や価値観を具現化したいと考えています。しかし、多くの場合、施主が持つ理想の住まいのイメージと、工務店が提案する住宅のイメージは必ずしも一致していません。このギャップが、施主と工務店の間に不信感や不満を生む原因となります。施主が期待する住まいのイメージを具体的に把握し、それを基にした提案を行うことが、このギャップを埋める鍵となります。

人格化のアプローチの重要性

『Hanako』のように、提案する住宅を「人格化」することで、ターゲットとの関係性を深化させることができます。注文住宅を人格化するとは、具体的には、その住宅が施主にとっての「信頼できる友人」や「理解者」といった存在になることを意味します。このアプローチを採用することで、施主とのコミュニケーションがスムーズになり、より深い信頼関係を築くことが可能となります。

注文住宅の人格化の具体的な方法

  • 施主の価値観を深く理解する
    施主のライフスタイルや価値観、夢や希望をしっかりとヒアリングし、それを基にした住宅提案を行うことが重要です。このヒアリングを通じて、施主のニーズや要望を正確に把握し、それに応じた提案を行うことができます。
  • 住宅のストーリーを共有する
    住宅の設計や機能には、それぞれ背景や理由があります。それを施主に伝え、共有することで、住宅に対する愛着や理解を深めることができます。このストーリーテリングのアプローチは、施主の心に響く提案を行うための重要な要素となります。
  • アフターフォローの徹底
    住宅が完成した後も、施主との関係を継続し、住宅のメンテナンスやライフスタイルの変化に応じた提案を行うことで、長期的な信頼関係を築くことができます。このアフターフォローは、施主の満足度を維持し、リピートや紹介を促進するための重要な要素となります。

施主との信頼関係を深化させられる

工務店が注文住宅を人格化することで、施主との信頼関係を深化させることができます。結果、施主の満足度を向上させ、長期的なビジネスの成功につなげることができるでしょう。この信頼関係の構築は、工務店のブランド価値を高め、競合他社との差別化を図るための鍵となります。

おまけ:情報もビジュアル化する

あとは、すごくシンプルなことですけど、家づくりや暮らしの情報を、どれだけビジュアル化できているかというと、住宅業界はまだまだですよね。

つまり、写真に力を入れていないということです。家づくりや暮らしをビジュアル化して「眺めていて楽しい」「生活空間に置いておきたい」「何度でも触れたい」と思わせるそんな写真が必要ですね。

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