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マニアでない工務店経営者が「こだわり」で差別化することはできない理由
昔、工務店のファッションについて、取り上げたことがあります。
ある地方で住宅のイベントをした際、いつもはスーツ姿の営業マンも、その時のイベントだけ、カジュアルな服装で対応していただきました。
イベント終わりに、接客をした営業マンが、こう言いました。
「服装を変えただけなのに、お客さんがこんなにも話してくれる!」
彼は、営業スタイルを変えたわけでもなく、服装しか変えていません。ただ元々、スーツの着こなし方も上手い方だったので、そのカジュアルな服装もオシャレでした。
もちろん、提供する住宅のイメージも関係してきますので、必ずカジュアルな服装が良いとも限りませんが、結果として、ただ服装を変えただけで、営業しやすい状況をつくることができたのです。
というお話。
家づくりとファッションは近い部分もある。
家づくりにコーディネートする役割があるように、ファッションにもスタイリストがいます。
スタイリストは、ライフスタイルに必要なファッションを設計してくれて、お客さんの目指す「理想のスタイル」をイメージしてくれます。お客さんの考え方や今の状況をしっかりとお聞きした上で、「どのようになりたいか」「どのような場所に行きたいか」「どのような服が必要なのか」を、ご一緒にしっかりと話し合って考えていきます。
最近では、何を選んでいいかわからないので、上手く見繕ってほしいという方もいます。(私もファッションにあまり興味がないので、その部類です…同じものを何着も持ってるタイプです。)
最近は迷子の案内をしてくれる「外部委託」サービスが人気になってきているのではないだろうか。
例えば、最近コスメ市場においては、「分析〜提案型」のサービスが多くなってきたように思う。先日原宿では1人ひとりの肌を「分析」し、オススメのアイテムを「提案」するSK-Ⅱの期間限定ストアが設置されていた。一方で、資生堂は「肌パシャ」アプリを公開し、手軽な「肌診断」ができるサービスをユーザーに提供している。私たちが何もわからない迷子でも、とりあえず診断してもらえれば、プロの視点から適切なアイテムをリコメンドしてもらえるのだ。
ファッションにおいても、ZOZOのおまかせ定期便は、プロのコーディネーターが自分のなんとなくの好みからその人にぴったりのファッションアイテムを「分析」し「提案」してくれるシステムである。ZARAには、パーソナルスタイリングサービスというのが2015年ごろから本格スタートしており、徐々にいろんなメディアで取り上げられるようになっている。その他、airClosetという、サブスクリプションとスタイリストによるコーディネートを組み合わせたサービスも存在している。
日常的に身につけるべきファッションやコスメという領域に関して、「何を選んだらいいかわからない。プロの専門家に見てもらって、勝手に選んでほしい」というニーズは確かに存在しているのだ。
自分らしさが決められないアラサーの私たちには、「迷子案内ビジネス」が効く
触れているのはファッションやコスメのことだけど、家づくりにも同じことが言えるのでは?
当然、提案のセンスの良し悪しや、提案に対しての好き嫌いはありますが、こだわるほどの気持ちもないし、モワッとしてる微かなイメージを可視化できるほどでもないし、そこまでファッションに興味もないので、提案してもらった方が楽というわけです。
反対に、ダメな服屋のパターンって、「似合いますね」「今年の流行りですよ」「(有名人の)●●さんも着てましたよ」と言って、服を勧めてくるところです。これに近い、工務店・設計事務所っていますよね。
ファッションセンスと設計センスは比例しやすいのか?
設計力で飯を食べている建築家などは、ファッションにこだわっている印象が強いです。誰とは言いませんが、ナルシスト的な人も多いです。
ファッションセンスと設計センスは比例しやすい。施工も同じことが言えるかも。
ファッションセンスと設計センスは比例しやすいならば、シンプルなファッションを求める人は、シンプルな設計を求めるでしょうし、機能性を求める、コスパを求める・・・などなど、共通してそうです。
逆を返せば、古くてダサいファッションの場合、古くてダサい設計になりやすいとうことです。
あなたは全身ユニクロをどう思うか?
建築家崩れをはじめ、設計に対してこだわりが強い人ほど、「ユニクロ」を否定していたりします。「ユニクロを着てる客は、自社の客じゃない」とまで言ってたり…
それぞれの理由があるので全然構いませんが、否定する理由としては、大衆的で、価格もリーズナブルで、こだわりがないように思えるかららしいのです。
自分の哲学を最優先したいならそれで良いと思いますが、日本で一番売れていて、世界でもトップランクに売れているアパレルブランドを、あまのじゃく的に否定しているだけなら、止めたほうがいいですよ。
ユニクロの商品歴史を辿ってみてください。もうね、昔みたいに、「ユニバレ」とか、安かろう悪かろうじゃないんですよ。コスパは言わずもがな、機能性はエアリズムやヒートテックなど以外にも着やすさなども挙げられますし、デザイン性もシンプルで一定のクオリティがあります。
ユニクロが安かろう悪かろうからどうやって脱出したかを知れば、ブランディングの参考にもなりますからね。
ファッションにこだわりなければ、ユニクロにしときなさい。
ユニクロについては、最近Twitter上で、あるIT企業の社長が、「全身ユニクロ」がカッコいいとツイートし、賛否を集めています。
私も、ファッションに興味ないんで、大半ユニクロです(笑)シンプルでコスパ良いですからね。
これ、工務店にも同じことが言えます。
他社を圧倒するほどのたいしたこだわりがなければ、ユニクロを目指した方がいいんですよ。
ただ、今のユニクロじゃなくて、ユニバレと呼ばれ、ダサいと避けられ、安かろう悪かろうと言われた時代から、どうやってステップアップしていったか?というその部分です。
そもそも、そのこだわりに対してマニアですか?家に対してマニアじゃない人に、こだわりで独自の強みをつくるのは難しいし、とってつけた差別化が通用するほど、甘くもありません。
ここで言うマニアとは、ある特定の活動や分野に情熱を注ぐ人を指します。
(オタク:他人の意見や考えより自分の意見や考えを優先する人)
厳しく言えば、家に対してマニアじゃない人(マニアになれない人)が、こだわりで差別化しようなんざ、無理ということです。
だから、マニアでない人は、ユニクロを目指しなさいってことです。目指した先にも壁はありますが、「マニアでない人のこだわりによる差別化」で出くわす壁よりは低いです。
また、「(他人の意見や考えより自分の意見や考えを優先する)オタクになるな、なるならマニアになれ」ということです。どのジャンルも業界も、オタク止まりなマニアは多いですから。
マニアでない工務店経営者が「こだわり」で差別化することができない理由
こだわりに対する本質的な理解が不足している
マニアでない経営者が「こだわり」を差別化の手段として用いる際、その本質的な理解に欠けることがしばしば見受けられます。こだわりとは、単に特定のスタイルや方法に固執することではなく、深い知識や情熱に基づいた独自の価値観を持つことを意味します。
しかし、マニアでない経営者が表面的なこだわりを追求すると、その深みや説得力に欠ける結果となりがちです。これは、顧客に対して真の価値を提供することが難しくなるだけでなく、経営者自身のビジョンやブランドイメージにも影響を及ぼす可能性があります。
顧客のニーズとミスマッチが起きる
こだわりを持つことは、時に顧客のニーズとのミスマッチを生むことがあります。マニアでない経営者が自身の好みやスタイルを押し付ける形でこだわりを展開すると、顧客の実際の要望やライフスタイルと合致しない場合があります。結果として、顧客の満足度が低下し、工務店経営に影響を及ぼす可能性があります。
顧客が求めるのは、自身のニーズに合わせた柔軟な提案と解決策です。しかし、マニアでない経営者の提供するこだわりは、しばしば一方的で固定的なものになりがちです。これは、顧客との信頼関係の構築を妨げ、長期的な顧客関係の構築にも悪影響を及ぼします。
独自性が欠如する
マニアでない経営者がこだわりを差別化の手段として用いる場合、その独自性が不足することがあります。真のこだわりは、個人の深い洞察や経験に基づくものであり、それによって独自の価値を生み出します。しかし、マニアでない経営者が表面的なこだわりを追求すると、他との差別化が不十分となり、競争優位を確立することが難しくなります。これは、市場における自社の位置づけやブランドイメージの弱化につながり、結果的に工務店の成長機会を逸する原因となり得ます。
経営戦略と整合性が取れなくなる
こだわりは経営戦略全体との整合性を持つ必要があります。マニアでない経営者が無理にこだわりを持とうとすると、全体のビジネス戦略やブランドイメージとの整合性が取れず、経営の効率性や効果性が低下する可能性があります。こだわりは、単なる個人的な好みやスタイルではなく、ビジネスの全体的な目標や戦略に沿ったものでなければなりません。
工務店経営者がマニアになり、こだわりで差別化できるようになるには何をしたらいいか?
深い知識と情熱を培う
工務店経営者がマニアになるためには、まずその分野における深い知識と情熱を培うことが不可欠です。これは、単に表面的な情報を集めるのではなく、建築の歴史、デザインの理論、材料の特性、最新の建築技術など、多岐にわたる知識を深めることを意味します。また、この過程で自然と情熱も育まれ、それが自身の仕事に対する熱意として顧客に伝わります。情熱は、単なる知識以上の価値を生み出し、顧客に対してもその熱意が伝わることで、信頼関係の構築につながります。
実践を通じた経験を蓄積する
知識だけではなく、実際の建築プロジェクトにおける経験も重要です。様々な案件に取り組むことで、理論だけでは学べない現場の知恵や、施主とのコミュニケーションの技術、問題解決能力などが身につきます。また、失敗から学ぶことも多く、それらの経験は自身のスキルを磨き、より良い提案を可能にします。実践を通じて得られる知見は、自身のサービスや提案の質を高め、顧客にとっての付加価値となります。
トレンドと顧客ニーズを理解し結びつける
マーケットのトレンドを理解し、それを自身のサービスに取り入れることも重要です。しかし、トレンドを追うだけではなく、それを顧客のニーズと結びつけることが肝心です。顧客のライフスタイルや価値観を理解し、それに合わせた提案をすることで、顧客からの信頼を得ることができます。また、トレンドを取り入れることで、自社の家づくりを常に新鮮で魅力的なものに保つことができます。
独自のスタイルを確立する
自身のスタイルを確立することも、マニアとしての地位を築く上で重要です。これは、流行に流されるのではなく、自身の哲学や価値観を反映させた独自のスタイルを持つことを意味します。この独自のスタイルが、他の工務店との差別化を生み出し、顧客にとっての選択肢の一つとなります。また、独自のスタイルは、自社のブランドイメージを強化し、市場での認知度を高める効果もあります。
継続的な学習と進化
マニアには、継続的な学習と進化が必要です。建築業界はスピードが遅いとはいえ、新しい技術や建材など、常に変化しています。これらの新しい情報を常にキャッチアップし、自身の知識とスキルをアップデートすることが重要です。また、自身のスタイルを進化させることで、常に新鮮な提案を顧客に提供することができます。