工務店経営者は「家づくり」と「経営」は別の話として考えた方がいい理由

先日、工務店経営勉強会に参加された方の個別訪問に伺いましたが、やはり注文住宅20棟未満の工務店は、それぞれの独自性があって面白いです。小規模な分、社長の個性がそのまま反映していく感じがします。また、置かれている状況も違うので、多少やり方が変わることもあります。

でも、共通しているのは、拡大より充実です。

通常だと、「会社をどこまで大きくしたらいいか?」みたいな拡大経営に行きがちですが、バカスカ棟数増やすよりも、内容を充実させることです。

また、小さな会社の場合、商品や労働環境などの質を保つ上でも、数の制限は大事だと思っています。なので、数たくさん建てて、経営者の目が届かない家づくりよりも、経営者の目が行き届いてる家づくりの方を応援したいのです。

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「家づくり」と「経営」は別の話

もちろん、小さな会社は、経営資源(人・モノ・金)は限られています。

自社で対応が難しい場合は、今ある既存サービスを活用しながら、充実させていく方法をとるのが主流ですが、家づくりが真面目な人ほど、全部自社や自分で担おうとしてしまうんですよ。

「家づくり」と「経営」は別の話だと思っています。

この辺りの話、格闘家の青木真也さんの記事「選手は職人であって商人ではないよね。だから商人に任せるのも大切だよって話。」が面白かったので、シェアします。

だってパン職人としての腕が経営の腕にそのまま繋がらないではないですか。パン職人はパンを作るのが上手いのであって、パン屋を経営するのはまた別の話だと思うのです。将来の夢はパン屋さんと子供が発したら、パンを作りたいのか経営をしたいのかを大人は説明をするのがいいと思うのです。

格闘技も同じことが言えて、選手と指導者も経営もストーリー書きも皆、違う仕事なのです。小さい業界だから、兼任する方が多かったり、そもそも分けられていなかったりするのは、実は問題というかリスクだと思うのです。

青木真也は職人だけれども、商人としても、ストーリー書きも小作農レベルだからこそ成り立ってるとはいえ、できているのは割とすごいことだと思うのです。このタイプは今までいなかったタイプだとも思うし。自分で言うのも恥ずかしいけれど。

選手は職人でいいと思っています。
ただ職人が職人以外の仕事をしなくていいような環境づくりが必要です。
全力でいいものを作る職人であっていいと思っています。僕だって全力でものを作って、その包装をたくさんの方に協力してもらってやっています。包装技術に目がいって、職人としての品質を舐めてるとそれはそれでみんなびっくりするけど。いいもん作ってるから。

じゃあ職人はどうするんだって話になります。

職人は職人として誇って良いと思うし、職人は職人を貫けば良いと思っています。ただ職人が背伸びをして、やろうとするから上手くいかずに、疑心に陥ってめんどくさい事案に発展すると思うのです。格闘技界でよくあるじゃないですか。この手のくだらないトラブル。

職人は職人業に専念して、あとは商人に任せましょうか。

商品としての強ささえあれば、プロモーションをかけて売り出したときに耐えることができます。だからこそ職人は良い商品を作ればそれでよし。そこから先は全て任せてみたらいいのだと思います。

選手は職人であって商人ではないよね。だから商人に任せるのも大切だよって話。

たとえ自身で売るのが下手であっても、経営者として売る(売ることを頼む)仕組みを作ることも視野にいれておくということでもあります。小さな会社の場合、経営者も家づくりの実務を兼ねるため、こういった線引が頭の中ではわかっていたとしても難しかったりします。

商品としての強ささえあれば、プロモーションをかけて売り出したときに耐えることができる。だから職人は良い商品を作ればそれでよし。そこから先は全て任せてみたらいい。

これ大事な本質で、まず大事なのは売り物(注文住宅)なんですよ。売り物のレベルは一定のラインを超えてないと話になりません。レベルの低い売り物は詐欺をするしか売れる手段はないですし、良い物なら売れる人は腐る程います。

では、その売り物のレベルを構成する要素とは???

例えば、設計力・・・

先日、性能や設計力について取り上げました。

住宅価格の高騰化などを加味したら、世の中は少しづつ、家を小さくし、コンパクトに暮らすことが求められてきています。

ということは、設計においては、

  • 土地と予算に合わせて、一から小さな家を設計できるか?
  • 小さくても広く暮らすことをコーディネートできるか?
  • 「小さい」というネガティブに捉えられがちなワードを啓蒙できるか?

といった時代の変化にしなければなりません。こういった変化は常に起きています。

もちろん、実務も兼任している以上、プレーヤーとして対応することも望ましいですが、たとえできなくても、経営者として対応すればいいんです。固定費を大きく掛けない堅実な経営にしていくなら、外部の資源を頼ることですよ。

すべて自分でまかなおうとして失敗した工務店の例

ある工務店の社長は、「一人で全てをやる」という極端な姿勢を取っていました。この社長は、家の設計から現場監督、さらには顧客との交渉や営業、集客活動まで、自らの手で行うことにこだわっていました。初めのうちは、この「オールインワン」のスタイルが功を奏し、小さな成功もありました。しかし、このやり方が長期にわたって続くと、次第にさまざまな問題が生じ始めました。

当初は、一人で全てを行うことでコスト削減や効率的な業務運営が期待されました。しかし、集客に時間を奪われすぎたことで、最も大事な住宅への細かな部分への目が行き届かなくなり、徐々に建築の質が低下しました。例えば、小さなミスが増えてきたり、最終チェックがおろそかになったりという問題が生じました。この結果、施主から満足度が下がり、悪いクチコミなども表れ始め、新規顧客の獲得が難しくなりました。

この社長の最大の問題は、経営者としてのバランス感覚の欠如でした。確かに、家づくり職人としての技術や情熱は素晴らしかったですが、経営者としての戦略や全体管理の重要性を見落とし、苦手な集客活動など、全て自分で背負いこんでいました。結果として、過剰なストレスと疲労が蓄積し、燃え尽き症候群に陥り、さらには健康を害する事態にもなりました。

この例から学ぶべきは、どんなに優れた人でも、経営には別のスキルセットが必要であるということです。工務店のようにやることが多い業種は、他者の力を借り、業務を適切に分担することが、持続可能な経営には不可欠です。また、自分の能力の限界を認識し、業務を適切に委託することの重要性も見落としてはなりません。

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