工務店は注文住宅を「物との距離を見つめ直す機会」として活用した方が良い理由

TEDで公開されている「マイケル・マーフィー: 癒すための建築」の内容、すごくいいですね。住宅にも関わる大事なことを話ししています。

目次

マイケル・マーフィー: 癒すための建築

建築は巧みに配置されたレンガという以上のものです。この強く訴えかける講演でマイケル・マーフィーは、設計をするとき彼のチームが設計図の遙か先を見据えていることを示します。風の流れや光といった要素を考慮しながら、美しい建物と共にコミュニティを作り出すという総体的なアプローチを取っているのです。ルワンダやハイチといった国々でのプロジェクトの紹介のあと、米国南部の心を癒すための野心的で感動的な慰霊碑のプランが明かされます。

マイケル・マーフィー: 癒すための建築

あらすじを書くと、、、

彼(マイケル・マーフィー)の父親は、毎週末に作業着を着て、古い自宅の壁のペンキを、剥ぎ落としては塗り直し、そんなことを繰り返しながら、コツコツとその古い自宅の手入れをしていました。

その父がある日にガンになり、余命は3週間だとのこと告知。父に寄り添うために彼は、父がもはや終えることのできなくなった古い自宅の修復作業に取りかかることにしたのです。

3週間が近づき、そして過ぎましたが、父はまだ生きていました。そして3ヶ月後、父が作業に加わりました。半年後、窓の部分が終わり、1年半後、ポーチを取り替えました。

もちろん、そこには彼と並ぶ父の姿があり、満足して眺めていました。ガンの症状はすっかり沈静化していました。父は彼に向かってこう言いました。 「なあマイケル、この家が俺の命を救ってくれたんだ。」

工務店は注文住宅を「物との距離を見つめ直す機会」として活用した方が良い理由

それで翌年、彼は大学で建築を学ぶことに決めるのです。

しかし、大学で習う建築は、目新しい造形の建物を作る人たちが認められるため、釈然としませんでした。

工務店は注文住宅を「物との距離を見つめ直す機会」として活用した方が良い理由

そんな中、彼は、世界の貧困層の保健改善のための活動をしている、ポール・ファーマー博士の講演を聞きに行き、博士が話す建築の話を聞いて驚きました。

「建物が人を病気にしている」というのです。

特に世界の貧困層で、それが流行病並みの問題を引き起こしているというのです。南アフリカの病院では、感染予防が考慮されていないため、脚を折って病院にやって来た患者が、換気されていない廊下で待たされて、病院を出るときには、多剤耐性肺結核にかかってしまい、死んでしまうというケースもあると。

工務店は注文住宅を「物との距離を見つめ直す機会」として活用した方が良い理由

そして、彼は行動に移すのですが・・・詳細は映像をご覧ください。

建築は変化のための原動力となる。

映像の中で、「建築は変化のための原動力となる。」と語っているように、環境が人に与える影響って、すごく大きいんですよね。住宅においても、多くの人は1日の3分の1以上は家にいるでしょうから、家から得られる影響って実は大きいはず。

それにしても、建築が造形寄りなのは、海外も一緒ですね(笑)もっと人間工学寄りなると、意匠の在り方も変わると思うんですけどね。

工務店は注文住宅を「物との距離を見つめ直す機会」として活用した方が良い理由

決して改善することがなく、いつの時代も風邪のように悩んでいるのが「片付けや収納」の分野です。注文住宅においても、切っても切り離せない話です。

だとするなら、工務店は注文住宅を「物との距離を見つめ直す機会」として活用した方が良いのではないでしょうか?

現状の問題点:形状重視の建築設計が多い

現代の多くの工務店は、注文住宅の設計において外観やデザインに大きな重点を置いています。これは市場での競争力を高め、顧客の目を引くための戦略として一見効果的に見えます。しかし、このアプローチは住む人の心地よさや健康、さらにはコミュニティ全体に対する影響を二の次にしてしまっています。マイケル・マーフィーがTEDで語ったように、建築は人々の心と体に直接影響を与える力があり、それを無視するわけにはいきません。

原因:短期的な成功への焦りと市場の誤解

多くの工務店が形状やデザイン重視の設計に走る背景には、短期的な成功への焦りがあります。美しい外観や斬新なデザインは確かにすぐに人々の目を引き、短期的な売上につながる可能性が高いです。しかし、これは長期的な顧客満足や健康に対する影響を考慮していないため、持続可能なビジネスモデルとは言えません。さらに、このような短期的な焦りは、市場が本当に求めているものを誤解している可能性も高く、長期的なビジネス戦略としては問題があります。

建築と健康、心地よさの密接な関係

建築が人々の健康に与える影響は極めて大きいです。自然光の取り入れ方一つとっても、それが人々の気分や生活リズム、さらには健康に与える影響は計り知れません。換気システム、音環境、温湿度のコントロールなども同様です。特に、現代社会ではテレワークの普及やライフスタイルの多様化により、自宅で過ごす時間が増えています。そのため、家が与える影響は以前よりもさらに大きくなっています。

「物との距離を見つめ直す」の重要性とその具体的な方法

「物との距離を見つめ直す」という観点から注文住宅を設計することで、物の多さや配置によるストレスを減らし、より健康的な生活を送ることが可能です。これは、顧客が長期的に満足する家を提供するためには欠かせない要素です。具体的には、収納スペースの工夫、多目的な空間設計、家具や装飾品の配置に至るまで、生活全体を考慮した設計が求められます。

結論:人間中心の設計へのシフト

以上の点を考慮すると、工務店は注文住宅の設計において、人間中心のアプローチを取るべきでしょう。外観やデザインも重要ですが、それだけではなく、住む人の心と体に良い影響を与える家づくりが求められています。これが真の顧客満足につながり、長期的な成功をもたらすでしょう。このようなアプローチを採用することで、工務店自体もその権威と信頼性を高めることができ、持続可能なビジネスモデルにつながるのです。

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