工務店の注文住宅にミニマル・デザインが求められている理由

アメリカの記者が、無印良品の「縦の家」のレポートを挙げています。

目次

無印良品がつくる住宅の「型にはまらない設計理念」:米国記者レポート

工務店の注文住宅にミニマル・デザインが求められている理由

シンプルなデザインと手頃な価格が売りの小売チェーン「MUJI(無印良品)」が、3階建てのプレハブ住宅「縦の家」を販売している。開放的で高断熱な住まいだ。

日本の小売チェーン「MUJI」(無印良品)が独自のマイクロホームを設計するのは、時間の問題だった。なにしろMUJIは、デザイン重視のごくシンプルな家庭用品を、手頃な価格で販売するという技術の達人なのだ。

MUJIが開業した1980年代には、MUJIは、「家庭用品のユニクロ」のようなブランドだった。デザインはシンプルで、価格は手頃。そして製品は社内でデザインしていた。

MUJIは、人気の高い栄養バー「KIND」や、ナイキのランニングシューズ「Nike FlyKnit」のような製品が登場するずっと前から、透明パッケージや、製造工程で発生する廃棄物の減量を支持していた。また、大々的なブランド化を避け、宣伝の代わりとなるクチコミと、信頼できる製品の力で売り上げを伸ばした。ミニマリスト的なデザインを守りながら、アプリや部屋着、食品などに事業を拡大していき、ついには住宅にも進出したことになる。

東京都に建つMUJIの「縦の家」は、3階建てのプレハブ住宅だ。天井や壁をできるだけ取り払うことで広々とした空間を確保し、それらを2つの階段でつないでいる。1階は水回りと収納スペース、2階はダイニングとリヴィング、3階は寝室になっている。

熱が上昇する現象を生かした断熱住宅で、エアコンは3階に1台あるだけだ。エアコンが数台ある家よりもエネルギー効率がいいのだろう(公式サイトによると、日中30度を大きく超える期間でも、室温は1階から3階までおよそ24度で一定していたという)。

無印良品がつくる住宅の「型にはまらない設計理念」:米国記者レポート
A Micro Apartment Designed by Muji, the Masters of Simplicity|元記事

「シンプル」にまとめあげることは、住宅に限らず、世界共通の「魅力」なのでしょう。

以前も取り上げましたが、アメリカでは、2012年にマイクロアパートがメディアの脚光を浴びたのをキッカケに、シンプルで小さな暮らしに注目し始めています。

住宅以外にも必要とされているシンプルさ

Less . is more ∼ より少ないことは、より豊かなこと ∼と言われるように、最近では、Webデザインにもシンプルさ=ミニマル・デザインが求められてきています。

ミニマル・デザインとは・・・

ミニマル・デザイン(Minimal Design)は、あまり使用しない機能のせいでシステムが肥大化することを避け、必要最小限の機能に絞って設計することをいう。 必ずしも外観のデザインに限った用語ではないが、外観について言うことが多い。装飾や凝った形状は排除され、平面や直角が多用される。塗装も省略ないし簡易になるため、色調は単色が多いが、木製品では木目をあらわにすることも多い。

wikipedia

ミニマル・デザインにもメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 伝えたいことが伝わりやすい
  • 強い印象を残すことができる
  • フラットデザインと相性がいい

デメリット

  • 退屈になる可能性がある
  • 手抜き感がでる可能性がある
  • クライアントと戦うこと(になるかも)

Minimal design(ミニマル・デザイン)の考え方

ミニマル・デザインについては、こちらのスライドショーが参考になりますよ。

シンプルさを生み出す、ミニマル・デザインですが、器となる家をシンプルにして、インテリアなどで住まい手の好みに作りこんでいく。

こういった流れを取り始めているところが、増えている気がします。

ネットの普及で、住まい手にも情報が簡単に手に入るため、センスの良い方が増えてきています。中には、自分たちで出来る範囲は、手を加えたいという方も。

別記事で、「ライフスタイルを理解していない営業マンが資金計画をしてはダメ!?」という記事を書きましたが、

お金のことだけでなく、デザインのことも理解していない営業マンが、間取りのことを打ち合わせするのは、はたして必要なのか?・・・と思ってしまいます。理解していない営業マンにあたってしまったお客さんが可哀想…

私は、住宅においては、営業マン不要派です。

工務店の注文住宅にミニマル・デザインが求められている理由

1. 消費者の価値観の変化

近年、特に若い世代を中心に消費者の価値観が大きく変わっています。物の多さよりも質や機能性を重視する傾向が強まっており、その結果、シンプルで機能的なデザインが注目されています。無印良品の「縦の家」のようなミニマル・デザインは、この新しい価値観に完全に合致していると言えるでしょう。このような変化を理解し、それに対応した住宅を提供することが、今後ますます重要になってくるでしょう。

2. 空間効率と機能性

ミニマル・デザインは、限られた空間を非常に効率的に使うことができるのが一つの大きな特長です。特に都市部では土地価格が高騰しており、広い家を持つことが難しい状況が続いています。そのような状況下で、小さな空間でも快適に暮らせるような設計が求められているのです。

3. エコロジーとサステナビリティ

ミニマル・デザインは、必要最小限の素材とエネルギーを使用するため、環境に対する影響が少ないとされています。エコロジーとサステナビリティが社会的に重要視されている現代において、このような設計は非常に高く評価される傾向にあります。

4. カスタマイズの容易性

ミニマル・デザインの家は、基本的な構造がシンプルであるため、後から住む人の好みやライフスタイルに応じて簡単にカスタマイズすることが可能です。これは、注文住宅を求める顧客にとって非常に大きな魅力となります。顧客が自分自身でカスタマイズできる余地を残しておくことで、より満足度の高い住宅を提供することができるでしょう。

5. 長期的なコスト効率

シンプルなデザインは、メンテナンスが比較的簡単であり、それが結果として長期的なコスト削減につながります。耐久性が高く、修理やリノベーションの必要が少ないため、長期的に見ても経済的に非常に有利な選択となるでしょう。

6. シンプルから得られる心地よさ

物が少なく、デザインがシンプルな空間は、心地よく感じられることが多いです。多くの人々がストレスフルな日常を送っている中で、家が提供する安心感や安らぎは計り知れない価値があります。このような空間にすることが、ミニマル・デザインの注文住宅においても非常に重要な要素となっています。


以上のような多角的な理由から、工務店が提供する注文住宅においても、ミニマル・デザインは今後ますます重要になってくると言えます。顧客のニーズをしっかりと把握し、時代の流れに合った住宅を提供することが、成功への鍵となるでしょう。このようなトレンドを理解し、適切に対応することで、工務店としても競争力を高めることが可能です。

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